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COLUMN

2019.11.19企業再生・経営

金融機関交渉Q&A vol.46

  • 資金繰り

本コラムは、当社「日税主催研修」「日税オンデマンド」でも講師としてご活躍いただいている(株)事業パートナーの代表取締役社長・松本光輝先生に、300社を超える会社の再生の成功体験をもとに、金融機関交渉に関してQ&A形式でまとめて頂きました。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。



■現状
業種:製造業、5,000万円の売上に対し4,000万円の借入があり、ただいまリスケ中。
2年間は元本ゼロで、2月から元本返済をする経営計画書を経営コンサルタントの先生に作ってもらい銀行に提出した。
2年間は計画通りであったが、昨年の5月から8月までの4ヶ月間で300万円の売上げ減少、前期トータルでは1,000万円ほど減少する見込み。
経営計画書では昨年から利益が出るようになり、今年、来年と利益が増えていくよう書かれている。
今は銀行の担当者も返せとは言わないが、利益を出すよう努力するようにと言われた。
一時は倒産も考えたが、私と弟の二人とも連帯保証人になっているので、倒産すると副業として経営している保険代理店も閉めることになり、収入源を全て失うことになる。

■相談点
1.今年から私と弟の報酬を下げ、営業1名を解雇し、諸経費を減らすことと共有名義の不動産を売却して、運転資金に充てる新たな経営計画書を作って銀行に提出しようと思っているのだが、問題はないか?
2.会社所在地の建物を売却して運転資金に充当することは問題ないか?
3.自己破産した場合には 、弟が所有している自宅は取られてしまうのか?それを防ぐ方法はないか?



■アドバイス
1.特に問題はない。但し、取り組みは社長の報酬カットと営業1名の退職で十分。弟の報酬カットは不要。
2.問題はないが、売却で得た資金の使途は、銀行に説明がつく形にしておく必要がある。現状は、事業に関する使途にする必要がある。
3.自己破産はするべきではない。自己破産をすると現金99万円プラス日用品以外は取られてしまう。
弟さんの自宅は“夫婦の間で居住用の不動産を贈与した時の配偶者控除”を活用して奥様に贈与することで、最大2,000万円まで無税で自宅を保全することができる。
仮に返済が滞り代位弁済となった場合、保証協会分と日本政策金融公庫分は小額(月数千円程度を生涯)の返済とすることとし、当事者が万が一の場合には相続放棄をすることで債務を受け継がないことも可能である。
会社を廃業した場合の保険代理店の継続方法は、何らかの方法があるはずなので調べていただきたい。但し、継続する場合も収入の規模には注意が必要。
詳細な手順や方法の確立には別途、調査・検討が必要となるが、第2会社を活用する方法もある。





vol.28以前のコラムは、日税ビジネスサービスのホームページにて、「日税メールステーション」バックナンバーページに掲載しています。
日税メールステーション 『金融機関交渉Q&A』バックナンバー


松本 光輝

株式会社事業パートナー 代表取締役40年にわたり、飲食業を中心に会社経営。バブル崩壊時に25億円の負債を抱え、その後3年半でその負債を解消する。2003年より、事業再生請負人として全国行脚中。この間、依頼先の多くが1~2ヶ月以内に、資金ショートに陥るおそれがあるという危機的状況の中から、1社も倒産させることなく、300社を優に越える会社の再生を成功させる。
◎過去の経験を活かして、中小企業経営者の最高の相談者となるべく、活動を続けている。
◎経営者はもとより、幹部社員の皆様・社員の皆様の声をくみ上げ、共に全社一丸となった再生を達成すべく、全力で取り組んでいる。着手後、30日以内に再生計画を作成して、実行に移している。
◎会社を3年かけて再生させる独自の再生術は、他に類を見ません。