MENU MENU

COLUMN

2020.03.02企業再生・経営

金融機関交渉Q&A vol.50

  • 資金繰り
  • 企業再生
  • 経営

本コラムは、当社「日税主催研修」「日税オンデマンド」でも講師としてご活躍いただいている(株)事業パートナーの代表取締役社長・松本光輝先生に、300社を超える会社の再生の成功体験をもとに、金融機関交渉に関してQ&A形式でまとめて頂きました。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。



■現状
衣料品製造業の経営者からの相談。
明治創業の老舗であるが、赤字が何年も続き、今期決算でも営業赤字を計上する。今期の赤字によって債務超過となってしまう。資金繰りも苦しく、来月金融機関から融資を受けないと支払いができなくなるが、債務超過の企業に金融機関はお金を貸さないと聞いている。


■相談点
上記のような状況に陥り、処々思い悩み、夜眠れない日々を過ごしている。このまま経営を続けるべきか、企業の再生は可能なのか?


■アドバイス
「再生は可能か」を考えるにあたり、1)現状は再生可能な状態なのか、2)将来業況を回復することができるのか、の2点をクリアにすることが大事である。

1)現状の分析
財務資料を精査すると、自社ビルであるため減価償却費が10百万円以上あり、減価償却を行わなかった場合の利益はほぼトントンであった。減価償却費はお金の流出がない費用なので、基本的にお金は回っている。お金が回れば倒産はしない。
また、明治創業の企業なので、土地の含み益がかなりあった。そのため、実態の貸借対照表は債務超過ではなかった。金融機関は、基本的に実態の貸借対照表を重視するので、債務超過を理由に融資を断られる可能性は低い(そもそも債務超過だから絶対借りられないというのはウソ)ことを話し安心していただいた。ただ利益状況などから必ず借りられるというわけではないので、万一の場合は不動産や売掛金を担保にした借入もある。
現状は、決して、再生不可能な状態ではない。

2)業況の回復
業況悪化の主因は、①売れ筋商品の衰退による売上減少、②競争激化による販売単価の低下、③少数多品種化による原価率のアップである。
当社を取り巻く環境や当社の経営資源を分析し、以下のアドバイスを行った。
① 1階空き部屋を利用したファクトリー・アウトレットショップの開設
② 競合が多い市場から少ない市場へのシフト(ゴルフウェア⇒テニスウェア)
③ クラウドファンディングの利用(資金調達も可能なマーケティング手段として)





あわせて読みたい!
金融機関交渉Q&A vol.49<事例編・第2号>小さくても売れる会社の共通点とは?―①



サービスのご案内
組織再編支援サービス日税従業員持株会 設立・運営支援サービスメールマガジンのご登録





vol.28以前のコラムは、日税ビジネスサービスのホームページにて、「日税メールステーション」バックナンバーページに掲載しています。
日税メールステーション 『金融機関交渉Q&A』バックナンバー


松本 光輝

株式会社事業パートナー 代表取締役40年にわたり、飲食業を中心に会社経営。バブル崩壊時に25億円の負債を抱え、その後3年半でその負債を解消する。2003年より、事業再生請負人として全国行脚中。この間、依頼先の多くが1~2ヶ月以内に、資金ショートに陥るおそれがあるという危機的状況の中から、1社も倒産させることなく、300社を優に越える会社の再生を成功させる。
◎過去の経験を活かして、中小企業経営者の最高の相談者となるべく、活動を続けている。
◎経営者はもとより、幹部社員の皆様・社員の皆様の声をくみ上げ、共に全社一丸となった再生を達成すべく、全力で取り組んでいる。着手後、30日以内に再生計画を作成して、実行に移している。
◎会社を3年かけて再生させる独自の再生術は、他に類を見ません。