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COLUMN

2020.04.23M&A事例

<事例編・第3号>ベンチャー企業とM&A―①

  • M&A

本コラムでは、当社の経験豊富なシニアマネージャーが過去に携わったM&A案件を事例としてご紹介いたします。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。なお、文中の記載には私見が含まれていることをあらかじめご了承ください。



今回は、ベンチャー企業のM&A案件についてお送りいたします。

M&Aというと高齢となった中小企業経営者が事業承継難に直面して第三者への譲渡を選択するというイメージが強いかもしれませんが、近年ではベンチャー企業の経営者によっても選択されるケースが増えています。

従来、ベンチャー企業経営といえば株式上場(IPO)を目標の一里塚とする経営者が多く、今でもIPOを目指すベンチャー企業経営者はたくさんいます。
しかし、一方では立ち上げた自身の企業を大手企業に売却してグループ会社としてその後の成長を追求したり、或いはシリアルアントレプレナーとして売却後に新たな企業をスタートアップしたりといったベンチャー経営者も増えてきました。

大手企業にとっては、新たな事業や研究開発をオーガニックに始めるよりも、ベンチャー企業への出資や買収によって経営のスピードを高められるというメリットがあり、今やオープンイノベーション戦略は多くの大手企業にとって珍しいものではありません。
また、国や自治体などのスタートアップ支援政策もあって、技術やアイデアに自信のある経営者による起業の動きは活発です。

このような環境を背景に、私達のような経営コンサルティングもベンチャー企業のM&Aをお手伝いする機会が増えました。例として、あるベンチャー企業(A社)が大手企業(B社)の子会社になったケースをご紹介します。

A社は都内の小さな雑居ビルにオフィスを構え、IT技術を用いた対人コミュニケーション機器の開発・製造を行う企業です。経営者は大手システム開発会社でキャリアを積んだ後に一念発起してA社を立ち上げました。経営者が殆どを出資し、残り少しを経営者の知人が出資していました。社歴は設立後数年と若く、スタッフも代表者を含めて僅か数人という小さな企業です。

殆どのスタートアップ企業について言えることですが、企業は設立後に経営が軌道に乗るまでは赤字が累積する所謂Jカーブという苦境を経験します。
A社も例外ではなく、業績的には大変厳しい状況にありましたが、それでも製品開発の方は何とか進み、試作品の実証も完了して今後は取引先の開拓、上市に向けて動き出そうというステージに来ていました。
A社の製品に関心を寄せ、取引を検討する企業もありました。しかし、ここで大きな壁に直面します。

製品開発や実証の段階で予想以上に資金を使ってしまったため、今後の営業活動やスタッフ採用などに投入できる資金の余裕がなくなってしまいました。自己資金や借入の追加も困難な状況にあり、存続するためにはエクイティによる外部資金調達に道を見出すしかない状況になりました。
A社の経営者は幾つもベンチャーキャピタルと話を進めようとしましたが、上手く進みません。A社の手掛ける製品は人々の生活やビジネスの現場で様々な利用が考えられることから将来の市場拡大は期待できるのですが、A社以外にも類似のサービスを手掛ける企業の参入があり、これらの中でA社の技術水準やポジショニングが特に際立ったものとは言えなかったのです。


 ・・・つづきは次回、『<事例編・第3号>ベンチャー企業とM&A―②』でお送りいたします。





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