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COLUMN

2021.05.19M&A全般

≪M&A道2丁目≫中小企業M&Aにおける5W1Hとは?―⑥

  • M&A

本コラムは、M&Aキャリア25年超の当社のシニアマネージャーが執筆しております。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。



前回のつづきをお送りいたします。

↓前回分はこちら↓
 ■≪M&A道2丁目≫中小企業M&Aにおける5W1Hとは?―⑤


④『What(何を)?』

『What(何を)?』とは、譲渡対象を何にしたいのかという問題です。
譲渡対象が経営支配権なのか、それとも特定の事業部門なのかなどによってM&Aのスキームも変わってきます。

経営支配権の場合、スキームは株式譲渡ということになります。
一概に株式譲渡といっても、マイノリティーの譲渡なのかマジョリティーの譲渡なのかによって、経営支配権が移転できるものとなるのかならないのかが変わってきます。

マイノリティーの譲渡とは、株式譲渡の場合には経営支配権が移転しない程度の株式保有割合の譲渡を指します。
株式保有割合をいうときには、発行済株式総数ベースと議決権ベースで考える場合の2通りありますが、経営支配権の問題を議論するときには議決権ベースで考えることが必要です。なぜならば、発行済株式総数で計算してしまうと、売却対象会社が自己株式を保有している場合、議決権ベースで計算する場合と異なるシェアとなってしまうからです。

マイノリティーの譲渡は、一般的には少数株主による株式譲渡のことですが、中小企業M&Aで検討する場合には、ここでの議論を単純化するため、いったんは50%未満と捉えてください。したがって、マジョリティーの譲渡とは株式保有割合の50%超と捉えて頂けると分かりやすいのではないかと思います。
もちろん、正確にマイノリティーとマジョリティーを言い表した定義ではありませんが、議論の前提としては、議決権の過半数を持つマジョリティーが存在する前提での話となります。
公開会社の場合は、非常に多くの株主によって構成されておりますので、過半数の株式を保有する株主が存在しない場合には、マジョリティー株主というよりも、筆頭株主とか、主要株主という考え方のほうが実態に即した捉え方といえるでしょう。

いずれにしましても、中小企業M&Aにおいて議決権ベースで株式保有割合のマジョリティーを持つオーナー経営者が経営支配権の譲渡を考えるか、その経営者が経営する会社はそのまま経営支配権をもったまま、当該会社の事業全部もしくは一部の譲渡をしたいと考えるのかを明確にしておく必要があります。

なお、マイノリティーの譲渡の場合には、経営支配権の移転が伴いませんので、一般的には、M&Aというよりも、資本提携とか業務資本提携とかといったカテゴリーに分類されることになるでしょう。つまり、マジョリティーの株式譲渡はM&Aのカテゴリーとしては、狭義のM&A、マイノリティーの株式譲渡は広義のM&Aと分類されるのが一般的とされます。

さて、冒頭において経営支配権の場合には株式譲渡だと示しましたが、事業譲渡をどのような場合にM&Aスキーム検討の際に活用されるのでしょうか。
事業の全部もしくは重要な一部の譲渡というスキームでは、株主の変動は生じません。対象会社の譲渡対象資産・負債、債権・債務のほか、譲渡対象事業にかかる契約関係や人的資源、工業所有権等の無形固定資産などが譲渡対象資産となるものです。
事業譲渡とは、「一定の営業目的のため組織化され有機的に一体として機能する財産」の譲渡であり、その財産のなかには、取引先との関係などの経済的価値のある事実関係、すなわち商権的なものも含まれています。

株式譲渡と事業譲渡は、それらによって定められている法的手続きも異なれば、それぞれに譲渡対価の受け手、M&Aのリスク、また、会計面、税務面などの効果も変わります。したがって、売手側においても買手側においても、それぞれの目的に応じてその良し悪しによりどちらのスキームを活用すべきかが選択されることとなります。このコラムではスキーム別のメリット・デメリットの詳説は致しませんが、理解としては概ね上述のとおりとなります。


 ・・・つづきは次回、『≪M&A道2丁目≫中小企業M&Aにおける5W1Hとは?―⑦』でお送りいたします。





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