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COLUMN

2022.06.02税務コンサルのポイント

【事業承継スキーム】持株会社への資金融通

  • 富裕層コンサルのイロハ
  • 事業承継スキーム

執筆者:伊藤俊一 先生
※伊藤先生のプロフィール詳細は、本ページの最後にてご確認いただけます。


Q. 持株会社への資金融通

持株会社への資金融通をご教示ください。


Answer

基本的に下記の事項を総合勘案します。

【解説】

1) オーソドックスな持株会社スキームの場合、スキーム策定上、最も支障があるのは

  • 持株会社の株式購入資金
  • 現オーナーが持株会社へ株式を譲渡した際に生じる譲渡益課税

への資金手当です。


2) 持株会社の株式購入資金への対応
効果を最大限にするなら、

  • 銀行借入
  • オーナーからの借入
  • 本体会社からの借入

というオーソドックスな方法にしておきましょう。
2) と下記3) はエビデンス整備が必須です。


3) 譲渡益課税への対応

  1. 譲渡に先立ち持株を後継者へ贈与
    相続税評価額<所基通59-6の場合、贈与のほうが有利な場合があります。

  2. 持株会社への株式譲渡益と他の株式の譲渡損との通算
    ※平成28年1月1日以後、上場株式等の譲渡損失と非上場株式等の譲渡所得との損益通算不可能です。

  3. グループに赤字会社がある場合にはそれを持株会社にする
    赤字のグループ会社に時価以下で譲渡又は第三者割当増資を実行。
    グループ会社では受贈益が生じるが、欠損と損益通算可能。

  4. 持株会社への時価発行新株予約権付社債の発行に変更
    新株予約権付社債に金利を付すことが可能であり、持株会社の資金負担軽滅効果あり。

  5. 持株会社に対する時価発行第三者割当増資
    現オーナーの株式支配率が減少するため譲渡と同様の効果を得ることが可能。

なお、本問はデロイト トーマツ税理士法人『Q&A 事業承継をめぐる非上場株式の評価と相続対策(第9版)』(清文社(2017/12/28))該当箇所を参照しています。


※コラムに関するご質問は受付しておりません。予めご了承ください。



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伊藤 俊一

税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。
一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。