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COLUMN

2022.07.07税務コンサルのポイント

【事業承継スキーム】持株会社と本体会社を合併させる場合の税務上の留意点

  • 富裕層コンサルのイロハ
  • 事業承継スキーム

執筆者:伊藤俊一 先生
※伊藤先生のプロフィール詳細は、本ページの最後にてご確認いただけます。


Q. 持株会社と本体会社を合併させる場合の税務上の留意点

持株会社と本体会社を合併させる場合の税務上の留意点をご教示ください。


Answer

下記です。

【解説】
不動産の流通税について、会社分割、現物出資と異なり、合併においては非課税規定等はなく軽減規定しかありません。
どちらの法人が不動産を現在所有していて、どちらの法人が合併法人、被合併法人になるかは税額シミュレーションで判定します。

また、消費税のシミュレーションも必要です。
しかし、実務上は、上記諸税の問題より許認可の問題が優先されますので、許認可事業を行っている法人を合併法人にするという判定で決定されます。結果、本体会社が合併法人になることがほとんどです。

下記では、持株会社と本体会社が組織再編成した場合の各種、税務上の留意点を列挙しています。
持株会社が合併法人は順合併、本体会社が合併法人を逆さ合併といいます。合併法人と被合併法人との支配関係が発生した日から5年以内に行われた適格合併のうち、みなし共同事業要件を充足しないものは、合併法人の欠損金の利用又は被合併法人の欠損金の引継ぎ及び合併法人又は被合併法人の含み損試算の譲渡等に係る損失について制限を受けます。
ただし持株会社が単独新設株式移転又は新設合併により設立されており、持株会社又は事業子会社の設立日から合併効力発生日まで両者間の支配関係が維持されている場合には、新設法人の特例が適用されます。これに係る制限はありません。

合併に伴い本体会社から持株会社に不動産移転があった場合、流通税が生じます。
持株会社に多額の受取利息が生じている場合、当該利息の貸付先の相手先が被合併法人の場合、課税売上割合が増加することとなります。すなわち、グループ全体の消費税の負担が改善させられる可能性があるため、当該合併前のシミュレーションが必要となります。これは分割でも同様です。
分割に伴い持株会社の課税売上が増加することにより、課税売上割合が増加する場合には、グループ全体の消費税の負担が改善される可能性があります。

なお、本問は新日本有限責任監査法人・他『持株会社の運営・移行・解消の実務』(中央経済社(2015/8/29))該当箇所を参照しています。


※コラムに関するご質問は受付しておりません。予めご了承ください。



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伊藤 俊一

税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。
一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。