MENU MENU

COLUMN

2018.07.10産業情報

シェアリングエコノミーが日本産業に与える影響~脅威を好機とするために、日本企業が採るべき戦略とは~

  • Mizuho Industry Focus
  • 経済情報

Mizuho Industry Focus Vol.209
シェアリングエコノミーが日本産業に与える影響~脅威を好機とするために、日本企業が採るべき戦略とは~

2018年6月21日 発行

〈要 旨〉

○近年、シェアリングビジネスの起業や大手参入が相次ぎ、まるでブームの様相を呈しているが、シェアリングエコノミーは、ゆっくりと確実に広がるメガトレンドとして捉えるべきである。

○足下、シェアリングビジネスの対象となる財(以下、「対象財」)は、自動車や住宅のように、価格が高くかつユーザー数が多い財が主流となっているが、モノを利用することから得られる体験である「コト」重視の価値観の浸透と共に、シェアリングへの認知度とマッチング技術の向上により、対象財は拡大していくと考えられる。シェアリングビジネスの事業化には、IT 技術を基盤として、対象財の量の拡大、及び品質維持に寄与するアセットマネジメント、借り手のニーズに合わせた対象財全体のポートフォリオマネジメントを行うことで、規模拡大と情報やノウハウの蓄積による利便性向上の好循環を実現することが重要となる。また、十分な借り手を確保し、シェアリングビジネスを補完する機能を担う企業を集め、エコシステムを形成していくことも重要となる。

○シェアリングエコノミーの進展は、シェアリングビジネスと得られる体験(コト)が同じようなサービス業、対象財を生産している製造業等に対して影響を与える可能性が高い。シェアリングビジネスへの参入は、業界内の主要なポジションにある企業は防御的に取り組むこととなる一方、業界の序列構造を覆したい企業にとっては機会となり得る。また、今後のシェアリングビジネスの主流は CtoBtoC 型から BtoC 型や BtoB 型へ移行すると考えられ、対象財の保有に伴う重い財務負担が課題となるが、事業運営を分離させ、対象財を所有するプレーヤーが出現する可能性もある。更に、今後、借り手が求めるコトの幅と質が、広がり、高まることで、自動車による移動から様々な移動手段とサービスを組み合わせた移動へと変化するように、多種類の対象財やサービスを組み合わせて提供するシェアリングビジネス「コト 2.0」へのシフトも想定される。

○少子高齢化や労働力人口減少による供給力減退が社会課題になりつつあり、元々、資源が乏しい日本が、今後、持続的に成長を続けていくためには、資産や人々が持つ知識・スキル等の有効活用に繋がるシェアリングエコノミーの浸透が必要である。しかし、リープフロッグを遂げ、スピーディーに成長し続けている新興国のシェア企業による日本進出への脅威も高まっている中で、日本企業に残された時間はあまりない。そのため、積極的にシェアリングビジネスに取り組むことで脅威を好機とし、日本の持続的成長に貢献する日本企業の活躍に期待したい。



・・・つづきはPDFでご覧ください。

みずほ銀行 産業調査部

※本記事は、みずほ銀行より掲載許可をいただき、同行ホームページで公開されている記事を転載したものです。
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/index.html