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COLUMN

2024.03.12M&A全般

非上場企業における自社株買いの利用

  • M&A

執筆者:株式会社日税経営情報センター シニアマネージャー



2023年に日本企業が関与したM&Aの年間件数をレコフデータで確認しますと4015件となりました。過去最多となった2022年の4304件に比べて289件(6.7%)の減少となりました。前年比で減少となるのは2020年以来3年ぶりとなります。この2023年の4015件のうち、国内企業同士のM&A件数は、3071件となり、前年比274件(8.2%)の減少となりました。

1.自社株買いとは
自社株買いとは、企業が自社の株式を買い戻すことです。日本においては、2001年の商法改正、2006年の会社法施工から一般に利用されるようになったもので、それ以前は債権者保護の観点から原則として禁止されていました。今日では上場企業が買収防止策、株主還元、財務指標の改善などを目的として実施しているニュースを目にする事が以前よりも増えましたが、自社株買いは上場企業だけでなく非上場企業においても利用されています。
まず挙げられるのが事業承継における自社株取得のケースです。中小企業など非上場企業では、経営者が過半数以上の議決権を保有して経営支配することが多いのですが、相続によらない場合、前経営者から後継者への株式譲渡の際に後継者が資金不足の為に前経営者の保有株式を全て買い取ることが出来ないことがあり、経営者の保有する株式の一部を会社が買い取るケースです。買取られた自己株式(所謂「金庫株」)は議決権行使ができませんので、後継者は議決権割合が高くなり、前経営者から買い取る株式が少なくても経営支配力を保つことが出来ます。退任取締役やその他株主からの株式を買戻すケースもあります。取締役が退任後も株式を所有して議決権を行使したりすると経営の足枷になります。少数株主においても決議に影響がなくても帳簿閲覧権行使など少数株主権を行使されるとやはり経営者にとって煩わしいものとなリます。これらの場合にも自社株の買い取りは有効な方法です。相続承継によるケースとしては、親族が多額の相続税を支払うこととなる場合に利用されることがあります。特に相続財産が株式しかないような場合には納税のための資金が足りないこともあり、このような場合に後継者が相続した株式の一部を会社が買い取れば、後継者はその資金を納税に充てることができます。この場合も会社が保有する自己株式には議決権がありませんから、経営支配にネガティブな影響を心配しなくてよくなるのです。このように自社株買いの利用は、議決権の分散回避や事業承継に際しての資金問題を解決する上で有効な方法と言えるのです。

2.自社株買いの手続き
自社株買いを行なうためには一定の手続きを踏む必要があります。自社株の買取りは非上場企業の場合には株主との直接取引になりますが、この時、株主を特定して株式を買取る場合には株主総会の特別決議で出席議決権の2/3以上の賛同を得る必要があり、その際、株主総会の招集通知においては、株主間の公平性の観点から全株主に対して「売主追加の議案変更請求」が可能な旨の通知を行なう必要があります。対象となる株主を特定せずに自社株の買取りを行なう場合には特別決議は必要とされず普通決議で過半数以上の賛同を得れば可能です。自社株買いを行なうためには株主総会決議が必要なわけです、それ以外にも制約条件があります。自社株買いは株式と引き替えに会社財産を交付することとなることから、分配可能額の制約を受けることとなります。これは剰余金を配当する場合同じです。従って、自社株買いを利用したくてもそもそも会社に分配可能額がない場合には自社株買いを使えないということになるのです。手続きや制約条件には注意が必要です。買取った株式は会社がそのまま金庫株として保有しても良いのですが、消却や処分も可能です。消却は帳簿上から消すことであり、この場合は株数が減少することになります。また、処分としては、組織再編の際に交付したり、第三者割当によって他の第三者から資金調達を行なうことも可能です。それから自社株を買取る企業の側でも売却する株主の側でも税金の処理を無視することは出来ません。特にみなし配当課税に該当する場合には売主は総合課税となることから注意が必要です。
自社株買いは大変有効な手法ですが、諸々注意が必要でもあります。専門家への相談を通じて安全に利用することが肝要です。


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