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COLUMN

2019.11.08税務コンサルのポイント

[別表四]各論編⑩~会費、分担金、支払利息、支払保険料、貸倒損失~

  • 富裕層コンサルのイロハ
  • 法人税

十八 会費、分担金
(間違えやすい事例)
○同業団体等に対して支出した通常会費は、当該同業団体等においてその受け入れた通常会費について不相当に多額の剰余金が生じていると認められる場合を除き、その支出した日の属する事業年度の損金の額に算入されることとなっているのに、当該同業団体等の未使用残額を単純に否認しているもの(基通9-7-15の3)。

○ゴルフクラブの入会金又は他から購入したゴルフクラブの会員権に係る名義書換料で資産として計上すべきものを損金算入している法人計算を認めているもの。
また、すでに資産に計上している入会金等に係る名義書換料を交際費にしていないもの(基通9-7-11、9-7-13)。
(注)レジャークラブの入会金については、基通9-7-13の2を参照してください。

○会員としての有効期間が定められており、かつ脱退に際して返還を受けることができないレジャークラブの入会金については、繰延資産として償却計算することができ、それ以外のものについては、ゴルフクラブの入会金に準じて取り扱われるのに、繰延資産として償却を行っているもの(基通9-7-13の2)。

○預託金制ゴルフクラブのゴルフ会員権で、破産手続開始の決定等の事実に基づき預託金返還請求権の全部又は一部が顕在化した場合において、当該顕在化した部分については金銭債権として貸倒損失及び貸倒引当金の対象とすることができるにもかかわらず、その処理を否認しているもの(基通9-7-12(注))。


十九 支払利息
(間違えやすい事例)
○社内預金に係る未払利息を利払期が未到来であるとして否認しているもの。

○機械の購入価額に含まれている利息部分が明確に区分されているのに、その利息部分の損金算入を否認しているもの。

○割賦販売契約又は延払条件付譲渡契約によって購入した固定資産について、契約において、購入代価と割賦期間分の利息及び売手側の代金回収のための費用等の額とが明確に区分されているときは、この利息及び費用の額は取得価額に算入しないことができるのに、これらの額を取得価額に算入すべきであるとして否認しているもの(基通7-3-2)。


二十 支払保険料
(間違えやすい事例)
○保険期間が3年以上で、満期返戻金のある長期損害保険について、支払った保険料のうち積立保険料に相当する部分の金額は、満期又は解約等の時までは資産に計上し、その他の部分については期間に応じて損金の額に算入するのに、全体を期間に応じて損金の額としているもの(基通9-3-9)。

☆○未払賞与の計上とともに見積り計上している社会保険料について、申告調整により加算していないもの。


二十一 貸倒損失
(間違えやすい事例)
○債権者集会で決定した切捨額以上に貸倒損失を計上した法人の経理を認めているもの(基通9-6-1(3)イ)。

○回収不能と認められる金銭債権について、債務免除の通知をして貸倒損失を計上しているのに、法人の計算を否認しているもの(基通9-6-1(4))。

☆○金銭債権につき、その全額が回収不能の状態にあるのに、社内りん議がなく、相手方に債務免除の通知をしていないという理由で法人計上の貸倒損失を否認しているもの(基通9-6-2)。

○一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れとして損金経理した売掛債権の額について、回収不能の事実がないものとして否認しているもの(基通9-6-3)。

○法人が債権の代物弁済により取得した不動産又は有価証券の取得価額をその時の価額(時価)で記帳しなかったため、貸倒損失を過大に計上しているのに、その計算を認めているもの。
また、その資産を債権額で記帳すべきものとして、貸倒損失の計上を否認しているもの(令54①六、令119①二十六)。

○過年度において貸倒損失を否認した金額のうち、当期に回収した金額を法人が益金の額に計上しているのに、この金額を認容していないもの。

○回収不能の金銭債権について、担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ、貸倒れとして損金経理することができないにもかかわらず、回収見込額を控除した後の金額を貸倒れ処理していたもの(基通9-6-2)。

☆○貸倒損失が認められない場合であっても、当該債務者につき、個別評価による繰入要件を充足しているときは、当該貸倒損失額は、個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入額とし、個別評価による繰入限度額の再計算を行うこととなるのに、これを行っていないもの(基通11-2-2)。

★○税抜経理を採用している場合、課税対象とした売掛金について貸倒れとなったときは、消費税の申告については貸倒れに係る税額控除の対象とし法人所得については期末において税額控除相当額の益金計上とすべきものを、これによっていない法人計算をそのまま認めているもの。
この場合、法人所得については、貸倒損失過大計上ではなく、雑益計上もれとして否認することに留意します。
ただし、貸倒損失の計上時に、便宜的に当該消費税相当額(貸倒額の5/105又は8/108)を仮受消費税等のマイナス項目として計上する方法を採っている場合には、期末における雑益計上もれは生じません。
この場合であっても税込金額が貸倒損失として貸倒実績率の分子に含まれることになります。








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伊藤 俊一

税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。
一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。