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COLUMN

2020.08.25M&A事例

内部統制の重要性―②

  • M&A

本コラムでは、当社の経験豊富なシニアマネージャーが過去に携わったM&A案件を事例としてご紹介いたします。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。




前回のつづきをお送りいたします。

↓前回分はこちら↓
 ■内部統制の重要性―①


その後、私はこのA社の経営者に暫くぶりに会う機会があり、先のファイナンス後、ビジネスも順調に進んでいることだろうと思い、何気なく様子を聞いてみました。
しかし、帰ってきた返事は私の期待とは逆に両社の関係が上手くいかなくなってきているというものでした。
A社では取締役会も設置し、B社からの役員も受入れるなど、B社の要望に沿った対応を行なっていましたが、上手くいかないのです。

出資側のB社はそれなりの企業規模を有し、グループ内には複数の企業が存在するという状況にあり、内部統制も相応のレベルで整備されていますが、一方のA社はグループ入りするスタートの段階では企業としての外形こそ整えられましたが、その後は開発と営業を急ぐあまり、内部統制の改善を後回しにしてしまい、更には管理担当の人材流出も招くなどが重なり、両社間のコミュニケーションの悪化にも繋がってしまったのです。

A社経営陣にはB社から送られた役員もいますから、B社から管理クオリティの向上を求める声がA社には届くのですが、A社の経営者と現場で対応できなければ改善を期待することが難しくなってしまいます。

結果、B社はリスク管理の観点からA社を再びグループから外さざるを得なくなり、最終的には保有するA社株式も他社へ譲渡してしまいました。
その後、A社では内部統制に対する認識も改善し、コンプライアンスオフィサーの設置など体制を充実させ、他の企業グループで再スタートを切ることとなりました。
もし、A社がB社から出資を受けた後も内部統制の充実化を怠らなければ、遠回りをせずに済んだのかもしれません。

企業連携に限らず、企業の売却でも同じことが言えます。
売却を試みる全ての企業が譲渡に成功するという保証はありません。
時間的な余裕があれば、内部統制の充実化も含めて所謂「磨き上げ」をしっかり行なう事によって、その後の出資や買収で事が運びやすくなり、企業価値上昇のステージにつながるとも言えるのです。
私達は、ソリューションとして企業の魅力を高めるために様々なアドバイスを提供しています。







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