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COLUMN

2021.04.27中小企業とM&A

≪M&Aにおける企業価値算定①≫純資産価額法と年買法について【vol.40】

  • M&A

本コラムでは、当社の経験豊富なシニアマネージャーが執筆しております。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。



中小企業の事業承継において、非上場株式の評価が問題として取り上げられます。

相続や贈与による親族内承継の場合、国税庁の財産評価基本通達では、

財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期(相続、遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日又は地価税法第2条《定義》第4号に規定する課税時期をいう。以下同じ。)において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。

とし、非上場株式の評価として純資産価額や類似業種批准などによる評価が挙げられていますが、M&Aのような第三者への譲渡による親族外承継では、この国税庁の評価方式以外に様々な手法が用いられています。
中小企業庁の非上場株式等評価ガイドラインでは、非上場株式の評価方式を大きく収益方式、純資産方式、批准方式に分類し、それぞれの方式について説明しています。

本コラムではM&Aにおいて用いられる様々な評価方式のうち、代表的なものを今回より複数回に分けて紹介いたします。

まず今回のコラムでは、純資産価額法年買法(年倍法とも書きます)をご紹介します。
純資産は企業の総資産から負債合計を控除したものですが、この純資産には簿価純資産と時価純資産という2通りの考え方があります。
例えば、私たちがよく見る貸借対照表の純資産では、固定資産である土地の評価は過去の取得価額による評価となっており、含み損益は反映されていません。
時価純資産の考えは、こうした資産を現在の時価で評価することになるので、より実態を反映した純資産ということができ、M&Aにおいても用いられる考え方の一つです。
この時価純資産には更に2通りの考え方があり、1つは対象企業をゴーイングコンサーンとして考えた場合の純資産価値であり、もう1つは企業が整理解散する場合の残存価値を求める考え方です。
通常、M&A案件ではゴーイングコンサーンを前提とする純資産価値評価が用いられ、事業再生案件においては解散価値を評価するケースが多いと思われますが、M&Aでも殆ど解散価値に近いレベルの評価を行っているケースも見受けられます。
このあたりは、M&Aに際して買手側が行う対象企業精査(デューデリジェンス:Due Diligence)のレベルの問題でもありますが、時価純資産価額と一口に言っても、その評価のレベルには差があるということです。時価純資産価額法を用いる場合には、このあたりに注意が必要です。

さて、この時価純資産価額に企業ののれん価値として計算される額を加算して買収価額とするという考え方もM&Aではよく見かけられるもので、この手法は年買法と呼ばれています。
こののれん価値の計算には営業利益を用いて対象企業の過去から今日までの業績推移などを考慮して、営業利益×〇年分として価値を計算しています。
また、営業利益に幾つかの費用を戻したいわゆる修正営業利益というものを用いているケースも見られます。

純資産価額法や年買法の大きな特徴としては、大変シンプルで分かりやすいということが挙げられます。
特に中小・零細企業では、事業の内容が大変シンプルなため、これらの手法は、上場企業のM&Aで見られるようなコーポレートファイナンス理論を駆使した評価よりも関係者間で理解を得やすいということがあり、M&Aの現場で実際によく用いられている様です。

以上、純資産価額法と年買法について簡単に紹介いたしました。次回のコラムでは、市場アプローチを取り上げてみたいと思います。





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