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COLUMN

2021.03.17企業再生・経営

金融機関交渉Q&A vol.62

  • 借入金

本コラムは、(株)日税ビジネスサービスの「日税主催研修」「日税オンデマンド」でも講師としてご活躍いただいている(株)事業パートナーの代表取締役社長・松本光輝先生に、300社を超える会社の再生の成功体験をもとに、金融機関交渉に関してQ&A形式でまとめて頂きました。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。



■現状
ゴルフ会員権の取引業を営まれている二代目社長からの相談。
社長70才、妻65才、先代90才の三人家族。社長は数年前に第二会社としてB社を設立、B社の社長には妻がなっているが、取引は社長が継続して行っていた。
平成22年に銀行から5,000万円の融資を受けたが、返済が滞ったために平成27年に銀行の子会社であるサービサーに債権が売却された。
今になって、サービサーからB社に対して“法人格否認”の訴状が届き、従来の会社(A社)とB社が同法人格であるとして、B社に対してサービサーから債務残額2,000万円を支払うよう請求があった。

■相談点
B社の代表である妻に裁判への出廷要請がきているが、妻に迷惑をかけたくない。債務残額2,000万円を請求されているが、年金生活なので、全額の返済などできない。これを和解で収めたい。どうすれば良いか?

■アドバイス
訴訟に勝てば2社は別法人なので債務の請求を受けないで済む。現状では法人格否認は決定ではないので争うことはできるが先ず勝てない。
状況を考えると訴状の呼び出しには応じるべきである。これまでの連絡を全て無視していたということなので、サービサーからの印象を良くしたい。和解や訴外交渉が進みやすくなる。
サービサーに認めてもらえれば社長も同席できるが、裁判所の応答はB社の代表である妻が行わなければならない。
妻はB社の保証人ではないので、例え法人格の否認が決定しても妻に請求はいかない。保証人になっていれば訴え先が会社と個人となるが、今回は会社だけが訴えられている。決定によってサービサーが請求できるのはA社、社長の個人資産、B社だけである。
和解の場合は、裁判所に3回程行くことになる。こちらがいくら払えるか聞かれるので10万円程と答える。サービサーはおよそ300万円前後を分割で支払う内容で和解を持ちかけてくる。300万円は支払えないので100万円で30万円は一括、残りを2年分割にして欲しいと交渉する。サービサーがこの条件を呑むなら和解は成立し、残りの債務額は免除される。
和解が叶わない場合、法人格否認の決定がくだる。B社の資産、口座は差し押さえられるので早めに現金を移しておく。
サービサーが今後の返済可能額を調査に来るので月5千円から1万円と話す。無視は一番不利益を被る選択、真摯に対応する。
年金もとられないように、今の口座でない振込先に変更する。サービサーに2年程支払いを続ければ、訴外交渉として返済額の12ヵ月分、12万円で和解になる可能性が高い。



※コラムに関するご質問は受付しておりません。予めご了承ください。



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松本 光輝

株式会社事業パートナー 代表取締役40年にわたり、飲食業を中心に会社経営。バブル崩壊時に25億円の負債を抱え、その後3年半でその負債を解消する。2003年より、事業再生請負人として全国行脚中。この間、依頼先の多くが1~2ヶ月以内に、資金ショートに陥るおそれがあるという危機的状況の中から、1社も倒産させることなく、300社を優に越える会社の再生を成功させる。
◎過去の経験を活かして、中小企業経営者の最高の相談者となるべく、活動を続けている。
◎経営者はもとより、幹部社員の皆様・社員の皆様の声をくみ上げ、共に全社一丸となった再生を達成すべく、全力で取り組んでいる。着手後、30日以内に再生計画を作成して、実行に移している。
◎会社を3年かけて再生させる独自の再生術は、他に類を見ません。